流産時は「掻爬手術」ではなく「手動吸引法」を−不妊症を併発しないために

不育症
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こんにちは、ASCAです。

先日9/28は、「安全な流産・中絶について考える日」(International Safe Abortion Day)でした。タイムリーなので、過去や未来の流産経験者に向けて重要なお話をしたいと思います。

流産手術をしたことのある方にお尋ねします。
あなたは安全な流産手術ができましたか?

「え?手術ならしたけど」
「安全な手術って何?」

そんな疑問を浮かべる方も多いでしょうか。
当然のことです。だって、「日本で主流な流産手術は、国際的に時代遅れな手法である」という事実を知らずに、教えてもらえずに、生きている女性が圧倒的に多いのですから。

ということで今回は、妊娠を望む全ての女性に絶対に知っていただきたい「安全性の高い流産手術の選択肢」についてお伝えします。

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「掻爬手術」を選んではいけない

掻爬手術(D&C:dilatation and curettage)」とは、鉗子やキュレットという金属製の器具を使って、子宮内組織を掻き出す手術法です(※出典1)。

日本では初期流産や人工妊娠中絶の症例のうち、約33%でこの掻爬法、約47%で掻爬法と電動吸引法(金属製の吸引管を子宮内に入れ、電動で組織を吸引する方法)の併用が実施されています(※出典2)。つまり、約80%で掻爬手術が実施されているわけです(※出典3)。

そんな主流の掻爬手術を受けないでください!と私は声を大にして言います。

掻爬手術は不妊症につながるリスクが

掻爬手術は、子宮内に金属製の器具を入れる手術です。この過程で子宮内膜に傷がつき、以下のような合併症を生じるリスクがあります(※出典1)。

  • 子宮穿孔(子宮の壁に穴があいてしまう)
  • アッシャーマン症候群(子宮内で癒着が起こる現象。子宮内腔癒着症とも言う)
  • 子宮内膜菲薄化(子宮内膜が薄くなり、受精卵が着床しづらくなる可能性がある)

手術は経験のある医師が行うので、これらの合併症の発生頻度は稀です。しかし発生した場合、将来的に不妊症につながる恐れもあります。

私は過去3回流産しましたが、1~2回目は掻爬手術でした(いずれも別の病院)。幸い合併症を起こしてはいませんが、もし手術がきっかけで不妊症になっていたら・・・と考えると恐ろしいです。

掻爬手術は国際的に「時代遅れ」

子宮内膜に傷をつける恐れのある掻爬手術は、WHO(世界保健機関)で「時代遅れの外科的方法」と言われています。
日本では主流な術式ですが、国際的には安全性に欠ける手法なのです。実際、欧米などの先進国では掻爬手術はほぼ行われていません(※出典3)。

しかし日本では、約80%の割合で掻爬手術が行われています。

***

過去に流産で手術をした患者さん、直近で流産手術を迎えようとしている患者さん。
それ、「掻爬手術」じゃないですか?

「子宮内容除去術(D&C)」と書いてあったら、掻爬手術です。
(D&Eなら、掻爬手術+電動吸引法です。金属製の鉗子や吸引管を入れる手術ですが、掻爬を行うことには変わりありません。)

術前に医師から手術説明を受け、同意書にサインをすることになるかと思いますが、注意書きに「合併症として子宮穿孔のリスクがある」とか書いてありませんでしたか?

私は1~2回目の流産手術時、そういう流れで手術をしました。
掻爬手術だということ、子宮穿孔のリスクがあること、承知の上で手術をしました。
だって、もっと安全な手術法があるなんて知らなかったからです。

流産手術は、「手動真空吸引法」を選ぼう

WHOは、流産や中絶手術について「真空吸引法、または薬剤による方法に切り替えるべき」と勧告しています。

薬剤による方法は日本では認可が下りていませんが、「真空吸引法(手動吸引法)」を実施している病院ならあります。まだ数は少ないものの、徐々に日本でも広まってきています。


手動吸引法(MVA:Manual Vacuum Aspiration)」とは、子宮の中に細くて柔らかいプラスチック製のチューブを入れ、子宮内を真空状態にして組織を吸引していく手術法です(※出典4)。

日本で掻爬手術と併用して実施される「電動吸引法」とは、下記の点で異なります(※出典5)。

  • 金属製のチューブではなく、柔らかくしなやかなポリプロピレン製のチューブを入れる(子宮内膜へのダメージが少ない
  • 電動ポンプではなく、手動で吸引する(子宮の形に合わせて微妙な調整が可能
  • 使い捨て製品で使用後は破棄するため、感染症の心配がかなり軽減される

という感じで、手動吸引法は「掻爬+電動吸引法」より子宮へのダメージが少なく、合併症のリスクも低いというメリットがあります。この他、子宮頸管を広げる処置時の痛みが少し軽減される点や、比較的短い時間で手術が終わるという利点も挙げられます(※出典6)。

金属製の器具で子宮内膜を傷つける合併症のリスクのある掻爬手術よりも、手動吸引法の方が安全性に長けます。合併症の頻度は稀ですが、掻爬手術をきっかけに不妊症も併発してしまったら、元も子もありません。手動吸引法を実施している病院を選ぶのが、現状はベターです。

手動吸引法を実施している病院はどこ?

「どの病院なら手動吸引法を実施してくれるの?」

うん。気になりますよね。

私は日本医科大学付属病院にて、この手動吸引法を実施しました。
日医大病院は不育症専門外来のある数少ない病院の1つで、反復流産の患者さんが多く訪れることもあり、手動吸引法も取り入れていたのだと思われます。

手動吸引法を実施している病院は少ないですが、Google検索するとそこそこヒットします。
私一人ではとても網羅できないので、皆さん各々検索してみてください。お近くで該当する病院があれば、そちらに問い合わせてみると良いのではと思います。


ただ、流産の診断をした病院が掻爬手術しかやっていない場合、別の病院で手動吸引法を受けられるかどうかは、私はわかりません。ごめんなさい。
主治医が紹介状を書いてくれるか、そして病院が手術だけを受け入れてくれるかはケースバイケースと思われるからです。

あと個人的な推測ですが、不育症専門外来は一般の産科よりも流産手術の件数が多いので、手動吸引法を採用している可能性がそこそこ高いような気がしています。

「不育症専門外来の選び方について」の記事はコチラから。

「流産手術にも選択肢がある」って教えてくれよ

ここからは、私という一患者からの愚痴かつ教訓です。

「掻爬手術(+電動吸引法)」or「手動吸引法」の選択肢があるって、最初から教えてほしかった!!!

恐らく多くの患者さんは「手術しましょう」と言われたら、流れのままに手術を受けます💀

「え?子宮穿孔のリスク?他の手術方法はないんですか?」なんて聞く患者さんはほぼいないでしょう・・・聞いたところで、「うちの病院は掻爬手術です」という答えが返ってくるだけです。多分。

でも、より安全性の高い手術があるって知っていれば!
子宮へのダメージが少ない「手動吸引法」の存在を知っていれば!
掻爬手術なんてしなかったよ!!!

もし掻爬手術がきっかけで、子宮内膜に傷がついて不妊症になってしまったら、悔やんでも悔やみくれません。
たとえ注意書きに、「子宮穿孔・内膜癒着のリスクがある」と書いてあっても。同意書にサインをしたとしても。


手術に同意してしまった手前、病院を訴えることはできません。
でも、「手術には選択肢がある」ことさえ知っていれば、防げる悲劇もあるでしょう。

それは、患者が不勉強なせいでしょうか?
病院側の説明不足のせいでしょうか?

いえ、流産や中絶手術の安全性について、日本という国が真剣に考えていないからこそ、掻爬手術が主流であり続けているのです。

***

日本の産婦人科医療に関わる皆さん、政府の皆さん。
薬の認可は今すぐには無理でも、せめて手動吸引法を主流にしてください
患者さんに優しい手術を取り入れてあげてください。

不妊症のリスクが低減されれば、それも立派な少子化対策になりますしね。
それでは。

※出典1:Safe Abortion Japan Project「手術・分娩の流れ」
※出典2:ウイメンズヘルス・ジャパン MVA Case Report「四国こどもとおとなの医療センター 総合周産期母子医療センター『手動吸引法の使用経験』」
※出典3:PRESIDENT Online「未だに「かき出す中絶」が行われている日本の謎」
※出典4:現代ビジネス「日本が人工妊娠中絶の「後進国」であるという悲しい事実」
※出典5:堀産婦人科「当院で行なっている手動真空吸引法」
※出典6:錦糸町駅前レディースクリニック「手動真空吸引法(MVA)ってなんのメリットがあるの?」

ASCA
この記事(マンガ・イラスト)をかいた人

流産を繰り返す「不育症」の患者。20代で3回妊娠するも、すべて流産。

31歳、仕事はWebライター。流産を繰り返すうちに適応障害が悪化→うつ病になり、半年間休職。現在は復職し、うつ病の治療中。

「妊娠したら出産できるとは限らない」ということを、多くの方に知ってほしい。
流産や不育症で悩む方への情報発信、「不育症」の認知度を上げるためにブログをやっています。趣味レベルで漫画も描きます。

当サイトのコンテンツ全て(記事/イラスト/漫画)の無断使用・無断転載を禁じます。

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