不妊と流産、どっちが辛い?-マウント合戦が「保険適用化」「適切な認知」を遠ざける

不育症
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こんにちは、ASCAです。
ブログ更新が滞っていてすみません。

復職して忙しいのも理由ですが、ツイッターに疲れてしまって。

ここ最近、一部の患者さん同士の言い争いが目につくようになって。眺めていて虚しかったし、強い危機感を持ったのです。

患者同士で感情的に足の引っ張り合いをしてると、

「うわ、不育症や不妊症の患者ってヒステリックだなぁ」
「こんなヤツらに財源割いても無駄じゃない?」
「そういうふうに性格悪いから子供産めないんだよ」

とかのクソ偏見が助長されそうだなぁと。

このままだと社会的な認知は遠ざかり、「患者さん全員」が適切なケアも医療も受けられなくなる。誰も耳を傾けてくれなくなる。

皆さんは、そういう未来を望んでいるのでしょうか?違いますよね。

今日は、私が今後ツイッターと距離を置くついでに、「当事者同士のマウント合戦は、患者全員が損する未来を招く」という話をさせていただきます。

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不妊症患者、流産・死産経験者(※一部)の間で起こる「マウント合戦」

ツイッターで不育症アカウントを作ってから、下記のような患者さんのツイートを時々目にしてきました。(※一部の患者さんのものです)

流産が辛いって言うけど、妊娠できるだけマシ不妊のが辛い」
たった1回の体外受精で妊娠できた人が、不妊症を名乗らないで。私はもう5回は体外受精してる」
初期流産より、死産の方が断然辛い
「2人目不育(or不妊)? 1人産めてるクセに贅沢言うな」

こういう言葉を見る度に私は、「この人は、そう言わないとやってられないくらい辛いんだな。いっぱいいっぱいなんだな」と思います。でも一方で、「誰かの経験や気持ちを踏みにじるようなツイートをするのはやめてほしい」とも思うのです。損しかしないから。

マウントが更なるマウントを招く→患者同士で傷つけ合う

攻撃的なツイートをするとどうなるか。
最初は共感のコメントが来たりして、スッキリするでしょう。一時的には。

しかし、言われた側はかなり傷つくので、反撃に出ることがあります。

「流産の方がマシって言うなら、流産して同じ目に遭えば?
「私は体外受精1回目で授かれたけど、回数多い方が偉いの?そんな性格だから、ずっと子供できないんじゃない?
「流産も死産も、子供を亡くしたことに変わりないのに。一緒に過ごした時間だけで私の辛さを計らないで
「たまたま1人目は授かれただけで、不妊・不育で悩んでることに変わりはないのに。線引きされるのは辛い」

(いくつか攻撃的なコメント例を出してしまい、すみません。多くの患者さんは良識がありますが、一部こういう人もいらっしゃるので、反面教師として。)

こうなると、当事者同士で言い争いが始まります。

不妊症患者 VS 流産経験者
治療歴が長い方が辛い・偉い VS そんなことない」
妊娠・出産できた人は仲間じゃない VS 妊娠中・子持ちの治療当事者」

攻撃が攻撃を呼び、更なる大喧嘩や傷つけ合いにつながるという、なんとも悲しい図式です。
・・・この対立、誰が得するんですか?

マウント合戦で、不妊・不育症患者は得するか?

ツイッター上での患者同士のマウント合戦は、不妊や不育症治療をよく知らない一般の人の目に留まることもあります。

さて、これを見た世間の人はどう思うでしょうか?

「どっちもどっち」
「しょーもない言い争いだな」

って感じですかね。
そして一部では、こういう偏見も産むのではないでしょうか。

「不妊症や不育症の患者、ヒステリックすぎ。だから子供産めないんじゃない?」
「これだから女はw」

もちろん、治療の経験がなくとも、患者さんの辛さを想像できる人もいるでしょう。でも世の中、そんなに想像力のある人は多くありません・・・。

そのツイートで、治療の保険適用化や助成金拡充が遠のくかも

ツイッターは便利ですが、かなり恐ろしいツールで。

良識のある人ない人、色んな人が利用しています。
中には「不妊様w」と患者さんを馬鹿にするツイートを連発し、傷つけるのを趣味とする人もいます。

そういう悪意のある人にとっては、患者間のマウント合戦は「格好の餌食」です。彼らの手にかかれば、問題のツイートはすぐに拡散され、炎上します。すると、

不妊症患者や流産経験者は性格が悪い
性格が悪いから、子供が来ない
「こんなヤツらに助成金なんてあげる必要がない
「高齢不妊(不育)のクセに、保険適用なんて馬鹿げてる

という患者全体を一括りにした偏見や、アンチ保険適用・助成金マンの声も大きくなっていきます。

つまり「不妊・不育症患者=ヒステリック」と思われると、治療・検査の保険適用や助成金拡充のお願いすら、社会に聞いてもらえなくなる恐れがあるのです。

「怒りの矛先」を見直そう−保険適用化等を実現するために

そもそも患者さん達は、現実的にどんなことで困っているんでしたっけ?

不妊症や不育症(流産・死産)に対する偏見
→生きづらい+カミングアウトもできない
治療と仕事の両立の難しさを理解してもらえない
非正規雇用にならざるを得ない
金銭的に困窮する
→治療を諦める
不妊・不育症が「疾患」と認められていない(若い患者も多いのに、晩婚や高齢妊活のせいと一面化されがち)
保険適用化してもらえない+助成金制度も拡充しない
→高額な治療費(数十万、数百万)を払い続ける
→金銭的に困窮、治療を続けられない
病院によって検査項目・治療方針がバラバラ(特に不育症)
→どの病院(医師)の見解が正しいかわからない
→セカンドオピニオン巡りをせざるを得ない
→その度に大金(約5〜10万)を払って検査し直す

こういう社会的・経済的問題で悩み、苦しみ、怒りを抱えているのではないでしょうか?

つまり怒りをぶつける先は、「患者さん」ではありません。「社会」や「国」です。
社会や国が変われば、↑の問題は基本的に解決します。

一日も早く金銭的な負担が減り、仕事との両立がしやすい社会になれば、他の患者さんも未来のあなたも嬉しいのではないでしょうか。

治療を巡る金銭的負担・無理解を減らすには?

不妊・不育症治療に伴う金銭的負担・社会的な無理解を減らすためには、社会や国に「納得が得られるようわかりやすく、論理的に現状の問題点を伝える」必要があります。

感情論だけで動かせるほど、社会や国は甘くありません。むしろ感情的な意見が多ければ多いほど、ウンザリされやすくなります。
「冷静に論理的に」そして「建設的に」、社会や国を変える認知活動をしていきましょう。

  • 私のようなブログ活動
  • 政府への署名運動
  • 患者団体の活動への協力

などなど、地道ですが社会や国を変える色んな方法があります。
どれかにご協力頂けたら、私は嬉しいです。だって私もあなたも報われやすくなりますからね!←

どうしても辛さを吐き出したい方へ

マウント合戦について、上から偉そうに物を申して失礼しました。

「自分だけが報われない辛さ」「他人の妊娠・出産を妬む気持ち」は、よくわかります。
私もそういう心の持ち主の一人です。ドス黒い感情でいっぱいになる時もあります。

でも、患者さん同士で怒りをぶつけ合っても、何も生まれません。
患者さんに怒りをぶつけたところで、自分が妊娠・出産できるわけではないし、他の人が妊娠・出産できた分、自分が損をするわけではないから。

「そんなことわかってるけど、どうしても気持ちを吐き出したいの!」
「この気持ちを共有したいの!」

・・・という方の気持ちもよくわかります。

そんな場合は、自分しか見られない鍵のアカウントか、日記に書き出してみてください。書くだけで随分スッキリします(経験済)。
共有したい気持ちが強いなら、気持ちを共有できそう、理解してくれそうな相手やカウンセラーに、直接話を聞いてもらうと良いと思います(これも経験済)。

「妬ましい」「憎い」は当然の気持ち−そんな自分を認めるのも大切

私は周囲の妊娠・出産が心底妬ましく、憎かったです。
そしてそんな醜い自分が大嫌いで、「消えてしまえばいい」と自分を責め続け、重度のうつ病になりました。

自分だけが報われないことからくる妬みや憎しみは、当たり前に湧く感情だと、私は思います。
その気持ちを受け止めて、「今頑張っている」自分を認めてあげてください。
どんなに周囲から気持ちを否定されても、自分だけは自分の味方でいてあげてください。

あ、吐き出す先を間違えると人格否定されて、私みたいにうつ病になってしまうので、お気をつけください。特にツイッターでの吐き出しは要注意です。

長々と偉そうに失礼しました。
物議をかもす記事かとは思うので、やっぱり私は今後ツイッターを控えめに利用します。それでは。

ASCA
この記事(マンガ・イラスト)をかいた人

流産を繰り返す「不育症」の患者。20代で3回妊娠するも、すべて流産。

32歳、仕事はWebライター。流産を繰り返すうちに適応障害が悪化→うつ病になり、半年間休職。その後はうつ病の治療を続けながら復職し、2020年夏に4回目の妊娠→2021年春に出産。

「妊娠したら出産できるとは限らない」ということを、多くの方に知ってほしい。
流産や不育症で悩む方への情報発信、「不育症」の認知度を上げるためにブログをやっています。趣味レベルで漫画も描きます。

当サイトのコンテンツ全て(記事/イラスト/漫画)の無断使用・無断転載を禁じます。

■Twitter
https://twitter.com/asca_fuiku

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