不育症患者は、どの病院でどんな検査を受けたらいいのか?

不育症
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こんにちは、ASCAです。
私は不育症歴3年以上の治療難民ですが、ずーっと困ってることがあります。ズバリ、「どの病院で不育症検査を受けるべきか」

未だにその答えは出ていません。ただ、以前「不育症の病院選びのコツ」の記事でもお伝えしましたが、当事者の方にお教えしておきたいことがあります。それは、

不育症専門外来やクリニックによって、検査項目や基準値、精度が違う
→1つのCLだけで全項目を網羅できない&医師ごとに見解が違う

はい、クソゲーですね。
理不尽ですが、この不育症界隈のドロ沼から脱却するには、患者自らが情報収集をし、「どの検査をすべきか」「どの病院に通うべきか」を考えなくてはなりません。

ということで、一般的な不育症検査の項目+特定のCLでしか受けられない検査項目についてまとめました。どうぞご覧ください。

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不育症の検査項目について

一般的な不育症の検査項目を、下記の表にまとめてみました(※2020年4月9日に内容を更新)。
じゃじゃん!!!

この表は、数少ない不育症専門外来の一つである「日本医科大学付属病院」の検査項目「杉ウイメンズクリニック」のHPの情報、そして不育症患者さんからの情報などをもとに作成・加筆したものです(ツイッターの不育症仲間・あっこさんにもご協力頂きました!ありがとう😭✨)。


にしても、検査項目多すぎですね…。私も作成しててゲンナリしました💀

でもこれらの項目のほとんどは、採血さえすれば、数週間~1ヶ月くらいで結果が出ます。
子宮形態異常については、経膣エコーとかで別途画像診断する必要がありますが。どのみち大した手間ではありません。

ただ、厄介なのが…
特定のCLでしか検査できない項目がいくつかあること。

表の右欄に★と書いてある項目が、その特殊な検査になります(2020年4月時点、私の知る限りの情報です。訂正や補足情報等あれば、是非コメントください!)。これらについて、以降で解説していきます。

特定のCLでしか受けられない不育症検査の項目

特定の不育症CLでしか検査できないと思われる項目は、下記の通りです。

・抗フォスファチジルセリン・プロトロンビン複合体抗体 IgG/IgM
・抗第XII因子抗体 IgG/IgM
・抗プロテインS抗体 IgG/IgM
・抗EGF抗体
・Th1/Th2 バランス
・子宮動脈血流
・ビタミンD
・慢性子宮内膜炎

上記の検査を受けられるのは、関東圏だと「杉WC」「杉山産婦人科」「リプロダクションCL」等ですが、特にオススメのクリニックという意味ではありません(私はあくまで中立的な立場の患者なので)。

「どうしても徹底的に検査したい!」という方は検査に足を運んでみてもいいかも、という話です。ただ、各CLで見解が違うので、検査すればするほど頭の中がゴチャゴチャになると思います…(私は今まさにその状態ですw)。

杉WC独自?の不育症検査の項目

不育症の専門外来として有名な杉WCは、血液凝固系因子の検査・治療に強いCLです。

採血した血液を即座に遠心分離&凍結する機械や不育症研究所を併設しており、「大学病院よりも信頼性のある検査データが得られる」「他施設ではできない、最先端の抗リン脂質抗体検査なども測定可能」と強気…いえ、頼もしい言葉が並んでいます(杉WCのHP)。

では、杉WCでしか受けられない(と思われる)不育症検査の項目をお伝えしていきます(※出典1)。

抗第XII因子抗体

不育症リスクの約7%を占める、「第Ⅻ因子欠乏症」。不育症検査で引っかかる人が結構多い印象です。

第Ⅻ因子は血液凝固因子の一つで、これが欠乏する(=第Ⅻ因子欠乏症)と、血栓や流産を引き起こしやすいとされています(※出典2)。しかし、第Ⅻ因子欠乏症の女性でも流産しない人も多いことから、流産を引き起こす真の原因といえるかは謎な状態です…。

そこでカギになるかもしれないのが、「抗第XII因子抗体」。この抗体を発見した杉WCの院長・杉先生は、

「抗第XII因子抗体は、第Ⅻ因子に対する自己抗体。この抗体こそが第Ⅻ因子欠乏症、第Ⅻ因子活性の低下の原因であり、また不育症を引き起こす直接的な原因ではないか」

と学説を提示しています(※出典3)。

この学説がもし正しければ、

・第Ⅻ因子欠乏症でも、抗第XII因子抗体を持たない女性に流産は起こらない
第Ⅻ因子が正常値だとしても、抗第XII因子抗体を持つ女性は、抗体が原因で流産を繰り返している可能性がある

と考えられそうです(※出典4、5)。

抗プロテインS抗体

「プロテインS欠乏症」は不育症因子の約7%を占めるもので、日本人の不育症患者さんに割とよく見られます。プロテインSは血液凝固を防ぐ働きがあるので、これが欠乏すると血栓ができやすくなるそうです(※出典6)。

で、このプロテインSに対する自己抗体が「抗プロテインS抗体」です。不育症との関連性についてはまだ研究段階ですが、血栓症との関連性がある抗体として注目されています(※出典7)。

抗EGF抗体

「抗EGF抗体」とは、子宮内膜や胎盤の血管新生を阻害すると考えられる抗体です。2020年4月、杉WCにて新たに追加された検査項目になります。

この抗体が陽性だと、良好な子宮内膜ができず着床障害になったり、胎盤形成不全のために流産を繰り返す可能性があるとのことです。前述の抗第XII因子抗体や抗プロテインS抗体との関連性が強く疑われており、

抗第XII因子抗体や抗プロテインS抗体が血液凝固異常を起こす→着床障害や不育症になる?
or
抗EGF抗体が血管新生を阻害→着床障害や不育症になる?

という二択の原因を絞るために、導入された検査のようです。

いずれかが判明することで、今後の治療方針が「抗血液凝固療法(アスピリン・ヘパリン)」か、それとも「免疫抑制療法(タクロリムス)」か…というようにルートも分かれていく様子(※出典8)。

まだ研究途上の抗体のようですが、原因不明の不育症患者さんは、この検査をしてみてもよいかもしれません。

子宮動脈血流

不育症の原因の一つとして注目されているのが、子宮動脈の血流不順(血管抵抗値の高さ)です(※出典9、10)。

子宮動脈の血流悪化の原因としては、抗リン脂質抗体症候群や血液凝固異常などが考えられますが、この「子宮動脈血流」を確認するには高性能の超音波機械が必要だそうです(※出典1)。なので検査できるCLはかなり限られています。

その他、検査可能なCLが限られる不育症の項目

続いて、★マークつきのその他の検査項目について解説していきます。

抗フォスファチジルセリン・プロトロンビン複合体抗体

不育症因子として有名な、「抗リン脂質抗体症候群」(抗体が自分の体を攻撃する、自己免疫疾患の一種。習慣流産・胎児死亡などを引き起こすとされる)との関連性が注目されている抗体です(※出典11)。

ただ、この抗体自体の報告がまだ少なく、国際共同研究が実施されているところです(※出典12)。ちなみに私、この抗体持ちです。だから早く研究を進めてほしい!

Th1/Th2 バランス

Th1,2とは免疫細胞の一種です。

・Th1:NK(ナチュラルキラー)細胞を活性化し、細菌やウイルスなどの異物を攻撃する
・Th2:B細胞(リンパ球の一種)を活性化し、花粉やダニなどのアレルゲンに反応する(※出典13)

原因不明の不育症患者さんの一部では、Th1がTh2より比率が高いケースが見られるようで、「夫の精子が混入した胎児を異物と見なし、拒絶反応を起こすことで着床不全や不育症を招いている(同種免疫異常と呼ばれる状態)」という説があります。この場合、タクロリムスという免疫抑制剤を使って対処するのが一般的なようです(※出典13、14)。

ちなみにですが、杉WC院長の杉先生は、Th1,2やNK細胞活性検査について否定的です。

これらの検査を診断、治療方針決定に使うのは不適切です。これらの検査は、15年以上前に我々の研究室でも検討し、あまりにもバラツキが大きく、検査として使うのは不適切という結論が出た、古い検査です。」

(杉ウイメンズクリニック「Th1/Th2、NK細胞活性検査について」

どっちの説を信じたらいいんでしょうね?
わかりませーん!😇

不育症界隈では、こういうCLごとの検査方針・見解の差に度々ブチ当たります。ほんとクソゲーです。

ビタミンD

ビタミンD受容体は細胞の分化、増殖、免疫、内分泌機能などに関連しているとされ、ビタミンD不足は不妊症の原因になると考えられています。そして、原因不明の不育症とも関係しているという説があります(※出典15、16)。不育症の原因とされるNK細胞の活性も、ビタミンDによって優位に抑制されるという話も…(※出典17)。

ただ、この説についても杉先生は懐疑的です
妊活中であれば、ビタミンDを含めたバランスの良い食生活が重要とは述べていますが…そこまで致命的な不育症因子ではないだろうとの見解ですね(杉ウイメンズクリニック「ビタミンDと不妊、不育症について」)。

慢性子宮内膜炎

「慢性子宮内膜炎」とは、子宮内膜で軽度の炎症が持続的に起こっている状態で、着床不全や妊娠初期の流産の原因の一つと考えられています。

無症状・無自覚なケースが多いですが、10%程度の女性は発症しているそうで、特に反復流産患者の9.3~67.6%に慢性子宮内膜炎があると報告されています(※出典18)。

基本的には反復着床不全の患者さんに行われる、いわば不妊症領域の検査になりますが(なので杉WC等、不育症専門CLでは実施していないところが多いです)、流産を繰り返している患者さんはやってみても良いのではないでしょうか。私も今後検査予定です。

リプロダクションCL等では「CD138検査」という検査名で実施しています。なお、「子宮鏡検査」でも慢性子宮内膜炎が発覚することはありますが、「ALICE(子宮内膜の組織から細菌の遺伝子を検出し、子宮内の細菌叢を分析する検査)」のほうが診断の感度は高いようです(※出典18)。

不育症検査項目をさっさと全国統一してくれ

…という感じで、不育症に関する項目を徹底的に検査しようとすると、数ヵ所のCLをハシゴしなければならないのが現状です。どのCLも首都圏にありますが、地方在住の患者さんにとってはかなり厳しいのでは?

それに、「この項目だけ検査お願いしまーす!」と依頼しても、

「1年以上前の検査結果は使えない」
「他院の検査精度は信用できない」

と言われて、また同じ検査項目を再検査するハメになることもしばしば。つまり、不育症検査費だけで「約10万円(相場)×通院先の数」かかります。私も30万円以上課金しました。

最近は東京都で不育症検査の助成事業が始まりましたが、助成限度は

・夫婦1組につき1回だけ💸
・5万円が上限💸

1回限りで5万まで!?
ナメてんのか!?
1つのCLで検査が終わらねぇんだよ!!!

と思いますね、はい😇(でも助成金が出ただけ有り難いです)

全ての不育症CLで、同じ項目・精度の検査が受けられれば済む話なんですが…。専門医間で見解が分かれているせいで、こんなカオスな状態になっています。

国よ!この悲惨すぎる実態を知ってくれ!!
全国の不育症CLで同じ検査を提供するよう、是正してくれ!!!

※出典1:杉ウイメンズクリニック「 現在当院で行っている検査一覧と、当院独自の検査の解説(2019/06/15)」
※出典2:大阪府不妊専門相談センター「不育症のリスク因子」
※出典3:杉 俊隆『不育症学級 改訂版』金原出版(2014年第2版)
※出典4:杉ウイメンズクリニック「院長コラム 新しい不育症検査について」
※出典5:アメーバブログ「ゆりかごの唄 ~天国のピヨちゃんと日々の事。死産(後期流産)を経て。~」
※出典6:厚生労働省 ヘルスケアラボ「不育症」
※出典7:国立研究開発法人 日本医療研究開発機構委託事業「AMED研究 不育症の原因解明、予防治療に関する研究を基にした不育症管理に関する提言 2019」
※出典8:杉ウイメンズクリニック「お知らせ:4月1日から新しい検査を開始します。原因不明の着床障害、流産の原因解明に期待しています」
※出典9:岡山県不妊専門相談センター 不妊・不育とこころの相談室「子宮動脈血管抵抗と不妊・不育」
※出典10:杉ウイメンズクリニック「新しい不育症検査として、 子宮動脈血流検査を導入しました」
※出典11:株式会社LSIメディエンス 臨床検査事業「aPS/PT抗体(抗フォスファチジルセリン依存性プロトロンビン抗体)」
※出典12:名古屋市立大学大学院 医学研究科「習慣流産・不育症のみなさんへ」
※出典13:青木産婦人科クリニック「(33). Th1/Th2検査、タクロリムス治療」
※出典14:神奈川ARTクリニック「難治性不妊・不育症に対する免疫抑制剤としてのタクロリムスの使用について」
※出典15:佐久平エンゼルクリニック「ビタミンD不足と不育症の関係」
※出典16 :レディースクリニック北浜「No.26 ビタミンD」
※出典17:まつみレディースクリニック三田「日本産科婦人科学会(3): 不育症とビタミンD (その2)」
※出典18:春木レディースクリニック「慢性子宮内膜炎とは」

ASCA
この記事(マンガ・イラスト)をかいた人

流産を繰り返す「不育症」の患者。20代で3回妊娠するも、すべて流産。

30歳、仕事はWebライター。流産を繰り返すうちに適応障害が悪化→うつ病になり、半年間休職。現在は復職し、うつ病の治療中。

「妊娠したら出産できるとは限らない」ということを、多くの方に知ってほしい。
流産や不育症で悩む方への情報発信、「不育症」の認知度を上げるためにブログをやっています。趣味レベルで漫画も描きます。

当サイトのコンテンツ全て(記事/イラスト/漫画)の無断使用・無断転載を禁じます。

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3回流産 不育症のASCAのブログ

コメント

  1. なおみ より:

    はじめまして。明日、3度目の流産手術を控えている、富山に住む32歳の不妊症、不育症持ちの者です。
    3度続けての流産、まだ信じられず、ショックで、同じように苦しんでいる人がいるのでは、わたしだけが辛いわけではないはず、と色々と検索したら、こちらに辿りついたといった形です。
    3回目の手術は、吸引の方の手術と聞き、ブログをみて、少しほっとしています。
    仕事は、保育士をしていますが、3度目ともなると、さすがに今まで通り、赤ちゃんを抱くお母さん、妊婦のお母さん、こどもたちと向き合えるか正直不安です。。
    いつか、母になりたいという夢をいまだ、持ちつづけています。
    これからも、ブログ拝見させてください。よろしくお願いします。

    • ASCA より:

      なおみさん、初めまして。
      ブログを読んでくださり、またご丁寧なコメントまで、本当にありがとうございます。

      3度目の流産…絶望感や喪失感が、痛いほどわかります。本当に苦しくて、生きるので精一杯のご心境ですよね。
      手術を終えられたばかりで、今は心身ともに、とてもしんどい時期かと思います。(吸引法とのことで、私もほっといたしました…)
      泣いたり、旦那さまや周囲の信頼できる人に気持ちを吐き出したりして、心の負担が少しでも軽くなるよう祈っています。
      なおみさんのせいで起こったことではないのですから、どうかご自身を責めないでくださいね。

      なおみさんは保育士さんなのですね…
      赤ちゃんやそのお母さん、妊婦さん達と接する機会が多いお仕事ですから、つい比較して悲しくなってしまうのは当然だと思います。
      私は流産後、妊婦さんと同じオフィスで働くのが精神的苦痛になり、適応障害→うつ病を併発してしまったので、
      なおみさんに同じ道を辿って頂きたくありません。

      職場と相談して休職する等、しばらくの間は物理的に距離を置いて、ご自身の心を守るのも一つの手段かと思います。
      何よりもなおみさんの心の安定が一番なので、安らぐ時間が1分1秒でも多く増えますように…。
      そしてどうか、なおみさんが元気な赤ちゃんを抱っこできる日がやって来ますように。

      なおみさんの幸せを、心から願っております。応援しております。
      しがない患者ですが、どうぞ今後もよろしくお願いいたします。

      ASCA