流産と診断されたら「絨毛染色体検査」を受けよう−今後の流産を防ぐために

不育症
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こんにちは、ASCAです。

私は20代で3回流産をしたのですが、流産と診断された日から赤ちゃんとお別れするまでの間に、「あの時こうすればよかった」と後悔したことがたくさんあります。

そんな私の体験を交えて、「流産と診断される前に知っておいてほしい事前知識」をお伝えしたいと思います。今回は「絨毛(じゅうもう)染色体検査を受ければよかった」編です。

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手術をして、絨毛染色体検査を受けよう

「残念ながら、流産です」

そう診断された時の心は、ショックや悲しみでいっぱいです。私は3回流産しましたが、いつもショックのあまり、頭が真っ白になります。

「もう1週間、様子を見ましょう」
「掻爬手術が必要なので、日程を決めましょう」
「自然排出を待ちましょう」

などと医師から提案があるかと思いますが、患者さんからすれば「赤ちゃんが死んでしまった」ことすら受け入れがたい精神状況です。「今はとても冷静に考えられない」というのが当然の心境かと思います。

私もそうでした。でも今、「当時こうすればよかった」と後悔し続けていることがあります。それは、「絨毛染色体検査を受けること」です。

絨毛染色体検査とは?

「絨毛」とは、妊娠早期の胎盤の一部のことです。絨毛染色体検査では、流産した胎児の絨毛組織を培養して得た染色体を染色し、染色体数と形態を観察する詳細分析を実施します(※出典1)。

これによって、流産の原因が胚(受精卵が発育したもの)の染色体異常かどうかを確認することができます(※出典2)。

「自分を責めないため」の絨毛染色体検査

一般的に、早期流産の原因の多く(約70~80%)は胎児の染色体異常で、どんな女性にでも生じ得る現象です(※出典3)。

わかりやすく言えば、「赤ちゃん側が元々染色体異常の原因を抱えていた」ということ。「産まれることが難しい運命だった」「亡くなってしまったけれど、この子は精一杯命を全うした」と捉えることもできます。

日本産婦人科医会のページにも、こう書いてあります。

流産の診断について理解が得られた場合でも、妊婦はなぜ流産となってしまったのかについて思い悩むことが多い。そしてその場合に生活習慣や食習慣、妊娠前後の服薬、仕事の状態など様々なことについて原因を求めようとすることがある。

そのため、流産が発生する機序に関して医学的観点からの客観的な知識について説明することが重要となる。その要点としては、早期流産の主な原因(70~80%程度)は誰にでも生じ得る胚の染色体異常であること(以下略)。

流産した女性は、「自分のせいで、赤ちゃんが死んでしまったのでは?」というふうに、自分を責めるケースが非常に多いです。

しかし、ご自身を責めないでください。流産の多くは赤ちゃんの染色体異常が原因であって、あなたのせいで死んでしまったわけではありません。胎児の染色体異常は、「誰にでも生じ得る」ものです。あなたの体に異常があるわけではありません。


私は過去3回流産しましたが、この絨毛染色体検査をしたのは、3回目だけです。結果、胎児の染色体異常が検出されました。
私はこの結果を知って、少し心が救われました。「この子はこれで命を全うしたんだな」「私のせいじゃない」と思えたからです。

でも過去2回は検査を実施していないので、「私のせいで死んでしまったのかも」と今も思うことがあります。私はそのせいでうつ病になってしまったので、皆さんには同じ道を辿ってほしくありません。

だから流産した女性には、過度に自分を責めないためにも「絨毛染色体検査を受けてほしい」のです。

絨毛染色体検査は高額。やる意味がない?

一般的に、早期流産が初回であれば、絨毛染色体検査を勧められることはほぼありません。お伝えしたように、早期流産の原因の多くは胎児の染色体異常だからです。医師からすれば、「たまたま不運だっただけ。検査するまでもない」といった感じでしょうか。

あと、絨毛染色体検査は自費です(※出典2)。保険適用外なので、約2〜8万円くらいかかります(※病院によって、検査費はかなり差があります)。

つまり高額なのと、染色体異常による流産のケースが大半なので、「わざわざ検査しなくても良いよ」と医師から言われやすいと思います。

絨毛染色体検査は「以降の流産を繰り返さないため」に重要

金銭的な負担が大きく、流産原因もある程度目星がついている点からすれば、「絶対に検査すべき!」とは言えません。

ただ私個人としては、後々「自分のせいで・・・」と責めるくらいなら、検査した方がいいと思っています。胎児に染色体異常があったとわかれば、「この子は寿命だった」と赤ちゃんの一生を認め、自分を過度に責めるのを防げるからです。

また、検査のメリットはそれだけではありません。
不育症の専門医である、青木産婦人科クリニックの院長のブログをご覧ください。

「もし、流産物の染色体検査結果が正常ならば、子宮内に原因があるということになる。不育症の検査をして原因を見つけないと、辛いことが繰り返されることになる」
(出典:青木産婦人科クリニックのブログ「((16)流産を繰り返さないため、まず流産物の染色体検査を」

本当にこの通りです。

検査をして染色体異常が判明すれば、精神的に多少救われます。
一方で、「胎児の染色体が正常」の場合、対策をしないと次回以降も流産を繰り返す恐れがあるのです。3回も流産した私のように。

「検査が怖い」という方へ

「赤ちゃん側に異常がなかった」という結果だと、「私のせいで死んでしまった」とご自身を責めやすくなるかと思います。それはショックで、受け入れたくない事実でしょう。「検査が怖い」というお気持ちもよくわかります。

私は1回しか検査を受けておらず、その結果も染色体異常だったので、「正常」結果を突きつけられた方のショックを体感したことはありません。

でももし私が「正常」結果に直面したならば、きっと「不育症検査を受ける」という一歩を踏み出すと思います。その赤ちゃんの死を無駄にしないために。これから授かる命を守るためにです。

絨毛染色体検査を受けるには、「流産手術」が必要

辛い選択になりますが、流産の確定診断を受け、

「自然に排出されるのを待つか、流産手術をして赤ちゃんを出すか、どちらにしますか?」

と医師に聞かれたら、私は後者の選択をお勧めします。

この2択の辛さは、私はよくわかります。

「赤ちゃんは、まだ生きているかもしれない」
「これから生き返るかもしれない」
「無理やり手術して追い出したら、赤ちゃんが可哀想。自然に出てくるのを待とう」

私は過去3回の流産時、泣きながら葛藤しました。「まだ生きているかも」という願いを捨て切れなかったから。手術はしたくなかったです。

でも私の場合は3回とも「稽留流産(胎児は死亡しているが、出血や腹痛などがない状態)」で、自然排出される見込みがなく、母体へのリスクが高いことから手術を受けることになりました。

赤ちゃんも、生き返ることは、なかったです。

***

この手術前に選択できるのが、「絨毛染色体検査を受けるかどうか」です。
お話ししてきたように、私は検査を受けることをお勧めします。

(「進行流産」で既に子宮内容物が出てきてしまっている場合、正確な絨毛染色体検査を受けられるかどうかはわからないので、医師に確認してください。)


私は初めて流産した当時、まさかその後3回も流産するとは思っていませんでした。
だから1回目も2回目も、手術はしたけれど絨毛染色体検査はしませんでした。

でも今は、こう後悔しています。

「あの子たちの死の原因は何だったんだろう」
「私のせいで死んだのかもしれない」
「何か重要な手がかりが掴めたかもしれないのに」

現に不育症外来でも、医師から「過去の絨毛染色体検査の結果がほしかった」と言われることがよくあります。

これを読んだ皆さんが、流産や死産をしないことを切に願っていますが、もし悲しい結果を迎えてしまった場合は、ぜひこの記事を、3回も流産した私の教訓を活かしてください。

それでは。

※出典1:株式会社日本遺伝子研究所「流産胎児絨毛染色体検査」
※出典2:公益社団法人 日本産婦人科医会「早期流産に対するインフォームドコンセントの注意点(3)流産に対して必要な処置についての説明」
※出典3:公益社団法人 日本産婦人科医会「早期流産に対するインフォームドコンセントの注意点(2)流産の原因についての説明」

ASCA
この記事(マンガ・イラスト)をかいた人

流産を繰り返す「不育症」の患者。20代で3回妊娠するも、すべて流産。

32歳、仕事はWebライター。流産を繰り返すうちに適応障害が悪化→うつ病になり、半年間休職。その後はうつ病の治療を続けながら復職し、2020年夏に4回目の妊娠→2021年春に出産。

「妊娠したら出産できるとは限らない」ということを、多くの方に知ってほしい。
流産や不育症で悩む方への情報発信、「不育症」の認知度を上げるためにブログをやっています。趣味レベルで漫画も描きます。

当サイトのコンテンツ全て(記事/イラスト/漫画)の無断使用・無断転載を禁じます。

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