流産手術で入院する時は「個室」や「婦人科病棟」を選ぼう - 心を病まないために

不育症
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こんにちは。ASCAです。

私は3回流産手術をし、3回全て入院することになったのですが、今後手術を受けることになる方に是非知っていただきたいことがあります。

それは、「入院時は、なるべく個室で妊婦さんのいない病棟を選ぼう!」ということです。

産科の大部屋に入院すると、恐らく心が病みます。

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妊婦さんだらけの入院病棟は「生き地獄」

流産手術で入院する場合、基本的には産科の病棟に入ることになります。
この時「個室」以外を選ぶと、恐らく下記のような環境が待っているでしょう。

  • 自分以外は、全員お腹の大きい妊婦さん
  • 赤ちゃんを幸せそうに抱きかかえるママ達を横目で見る

これが本っっっっ当に、精神的にキツい。

だって、自分はこれから流産手術をするんですよ?
新しい命の誕生を待ちわびて喜んでいる人たちの中で、自分だけが亡くなった命とお別れしようとしているんですよ・・・?

辛すぎませんか?この環境。
私は「生き地獄」って思いましたよ。

みんなの赤ちゃんは、元気に生まれるんだね。良かったね。
私の赤ちゃんは、もう死んじゃってるんだ。
私はあなた達と違って、赤ちゃんをお腹の中で育てられなかったから。
今から赤ちゃんと、手術でサヨナラするんだ。

嫉妬や悲しみや自己嫌悪でぐちゃぐちゃです。

「私の赤ちゃんも、まだ生きているかもしれない」
そう願いたい気持ちも、捨て切れませんでした。

でも流産を宣告された日も、手術直前での最終確認でも、私の赤ちゃんの心臓はもう動いていませんでした。
動くことなく、大きく成長することもなく、ただお腹の中にいました。

「新生児ママとの2人部屋」体験記

私は3回の流産手術を、それぞれ別の病院で行いました。

1回目のA病院では「4人部屋」に入院しましたが、

なんと!
妊婦さんにも新生児ママにも遭遇しませんでした!!
奇跡!!!

・・・ではありません。
きっと医師が配慮してくれたのです。「産科」でなく「婦人科」の病棟に入れるようにと。私が依頼したわけではないのに、気配りが有能・・・!


ですが、2回目の流産時のB病院では、「産科」病棟に入院することになりました。

そして私は「2人部屋」のベッドで手術の待機をすることになったのですが、同じ部屋の女性は、旦那さんと一緒に、生まれてすぐの赤ちゃんに幸せそうに話しかけていました。

そんな光景を真横で見ていた私の気持ちは、とても一言では言い表せません。

  • 新生児ママへの羨ましさ、妬ましさ
  • 子供をお腹の中で育ててあげられなかった自分への劣等感
  • これから手術をして、お腹の赤ちゃんと別れる悲しみ

色々な気持ちが一気に押し寄せてきて、もう心がぐちゃぐちゃでした。
私は手術を待つ間も術後も、ずっとカーテンを閉め切って過ごしました。

分娩室の隣で、手術を受ける辛さ

「ASCAさん、今から手術室に移動してください」

そう言われて病室から移動し、手術室に入る直前のことでした。

手術室の隣の部屋の前には、30代の男性と60歳くらいのご両親が。「頑張れ!頑張れ!」とドア越しに声援を送っていました。

あぁ、隣の部屋では、分娩の真っ最中で。
今から新しい命が生まれようとしているんだな。
私はこれから、亡くなった命をお腹から掻き出す所なのに。

たった一枚の壁を隔てた先に、天国と地獄がある。
そんな残酷な現実を、見せつけられました。

「なんで私だけ・・・?」と涙が止まらないまま、手術に臨みました。

妊婦さんに囲まれながらの流産手術は、「深い心の傷」になる

このB病院での入院体験は、私にとって大きなトラウマになりました。

幸せそうな妊婦さんや新生児ママに囲まれた中、一人だけ流産手術を受ける。

その時の心境は、「悲しい」「辛い」なんて言葉では到底言い表せません。筆舌に尽くしがたい「苦痛」です。

私は、「自分は女性としての機能が劣っている」と、遠回しに言われているような感覚にも陥りました。

みんなは産めるのに、なぜ自分は産めないのだろう。
私の体に欠陥があるせいで、赤ちゃんは死んでしまったのではないか。
周りの幸せを見せつけられるような環境で、私だけが「流産手術」。
なんで私だけ・・・。もう、死にたい。赤ちゃんと一緒に死んでしまいたい。

心からそう思いました。
「私は醜い心を持ち、体も劣っているんだな」と思うと、自分がどんどん嫌いになって、生きている価値がないのではとも思いました。

実際、産科病棟の大部屋に入院して流産手術を受け、私と同じような心境になった方も割と多いのではないでしょうか?

流産宣告の時点で猛烈にショックを受けているのに、入院によってさらに精神を病むというのは、本当に理不尽な話だなと思います。

流産手術で入院するなら「婦人科」病棟の「個室」を選ぼう

B病院で散々トラウマを持った私は、C病院で3回目の流産を告げられた時、

「入院時は、個室にしてください」
妊婦さんのいる病棟には、入院したくありません」

という2つの要望を、医師に告げました。

たとえ「個室」でも、「産科病棟での入院」になってしまうと、手術室への移動中に妊婦さんや新生児ママと出くわすことになるからです。それだけはどうしても避けたかった。


C病院は、不妊症・不育症の専門外来のある大規模な大学病院でした。
「産科」ではなく「婦人科」の病棟も用意されており、私は無事、妊婦さんとは完全に隔離された病棟・病室で手術に臨むことができました。

手術は心底悲しかったけれど、快適でした。
「お腹の大きな妊婦さんに遭わないだけで、こんなに精神的に落ち着くんだな」と実感しました(「心が狭い!」と不快に思われる方がいたら、ごめんなさい)。

***

ちなみに個室に入る時、看護師さんに「この病棟に妊婦さんっているんですか?」と尋ねてみたところ、

いませんよ。ここは婦人科系の疾患の患者さんや、流産や死産をして、妊婦さんに会いたくない患者さんが入る病棟ですから。やっぱり流産された患者さんだと、産科に入院するのは辛いって仰る方もいらっしゃるので」

と答えが返ってきました。

本当に配慮された病院だな、と感謝しかありません。
(私が「妊婦さんに絶対会いたくない!」を連呼した甲斐あっての処遇かもしれませんが。)

個室の入院費は高い。でも払う価値はある

流産の手術代は、日帰りで2〜3万円くらいが相場かと思います。
さらに個室希望(1人部屋)となると、病院によりますが、さらに+約2〜3万円かかるかと。
もし1泊入院になったら、個室代はさらに倍かかる。

つまり、手術代含めて約4〜6万円・・・高い
加えて胎児の絨毛染色体検査もすれば、さらにお金が数万円かかります。

「絨毛染色体検査って何?」という方はコチラ
そんなにお金を出すのも勿体ないし、追加料金のない大部屋で我慢しよう・・・。

って思いますよね。私もそうでした。

でも、B病院で新生児ママと2人部屋を経験した私からすれば、大部屋なんて想像を絶する生き地獄です。

自分以外の3〜5人が、全員お腹の大きな妊婦さんや新生児ママだったら。
病室で流産手術を待つ時間も、手術が終わってから横たわる時間も、心をえぐられるような辛さと闘わなくてはいけないのでは・・・と思います。

私は「産科」病棟の「2人部屋」で流産手術をした日に、心底思いました。
あんなトラウマまで植え付けられるなら、個室代をケチるんじゃなかった!せめて「妊婦さんのいない部屋にしてください」と言うべきだった、と。

あ、妊婦さんのいない病棟に入院できるなら、個室じゃなくても良いかもしれません。個室代もかからないし、妊婦さん達にも遭わないで済むから。

ただ私の場合は、手術する前も終わった後も、ベッドで大号泣状態だったので。周囲の目のない個室では、思いっきり泣けて良かったなぁとメリットを感じたのでした。

流産手術をする人は、「婦人科」病棟に入院希望を

ある程度規模の大きな病院じゃないと、依頼できない(受け入れてもらえない)話でしょうが、流産手術で入院する方は、なるべく妊婦さんの見えない環境で過ごした方が良いと私は思います。

患者さん側から何も言わないと、恐らく「産科」病棟に入院予約を入れられ、妊婦さんや新生児ママに囲まれた環境で手術をすることになります。

それが「全然気にならない!」という方は良いのですが、「想像しただけでしんどい・・・」という方は、流産手術の話が出た時、主治医にこう聞いてみましょう。

妊婦さんのいない病棟に入院できないですか?」

患者さんから依頼があれば、医師の気遣いによって、「産科」ではなく「婦人科」等の病棟に入院できるかもしれません。

ただ、最初から街の小さな産科に通院されていた方の場合は、難しいかと思います。流産手術のために、他の病院に紹介状を書いてくれるかは医師の方針によるので。

そんな場合は、「個室」か「少人数部屋」を希望する、妊婦さんが少ない日や分娩の被らない日を選ぶ、等の要望を出してみても良いかと思います(とはいえ、小さな産科だと難しいでしょうが・・・)。

最初から不育症・不妊症外来のある、大きめの病院に通うのが無難

「流産した時に備えて、妊婦さんのいない病棟を選べる病院に行きたい!」

という方は、産科だけでなく、不育症や不妊症患者さん用の婦人科外来もある、大規模の病院に最初から通っておくのがベターかと思います。

「不育症専門外来の選び方のコツ」についての記事はコチラ

いざ流産してしまった時、産科しかないような小規模な病院だと、入院手術時に妊婦さんとの遭遇は避けられないからです。妊婦さんに囲まれながらの手術待機もですが、分娩室の隣での流産手術は、本当に精神的に病みます・・・。

流産手術で「産科」病棟に入院し、「新生児ママと同じ部屋」で1日過ごして、心を散々病んで今うつ病を治療している私からの、せめてもの助言です。

あと!全国の産婦人科医や関係者の方!
流産・死産した患者さんの心を配慮して!ちょっとは想像して!!
産科の団体部屋に、流産した女性を入院させるのは鬼畜すぎるよ!!!

きっと、誰かの教訓になりますように。それでは。

ASCA
この記事(マンガ・イラスト)をかいた人

流産を繰り返す「不育症」の患者。20代で3回妊娠するも、すべて流産。

32歳、仕事はWebライター。流産を繰り返すうちに適応障害が悪化→うつ病になり、半年間休職。その後はうつ病の治療を続けながら復職し、2020年夏に4回目の妊娠→2021年春に出産。

「妊娠したら出産できるとは限らない」ということを、多くの方に知ってほしい。
流産や不育症で悩む方への情報発信、「不育症」の認知度を上げるためにブログをやっています。趣味レベルで漫画も描きます。

当サイトのコンテンツ全て(記事/イラスト/漫画)の無断使用・無断転載を禁じます。

■Twitter
https://twitter.com/asca_fuiku

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