流産や先天性疾患を防ぐために - 「妊娠前に5つの予防接種&抗体検査」を

流産
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こんにちは、ASCAです。

インフルエンザが流行ってきましたね。私も先日予防接種を受けてきたところです。

インフルワクチンは妊婦さんも接種できますが、妊娠中にかかると重症化する可能性もあるそうなので。未接種の方は早めに接種を!

それはさておき、

妊活中の皆さんは「赤ちゃんを守る予防接種」の準備は万端ですか?

というか、「妊娠しか予防接種ができない+妊娠中に感染すると流産や赤ちゃんの病気につながる可能性のある」感染症を、知っていますか?

今回は妊娠前に受けておきたい、「5つの予防接種と抗体検査」をご紹介します。

(医療機関や国のページを見ながら作成しましたが、医療従事者ではない一患者の情報発信に過ぎないので、内容に関しての責任は負いかねます。間違いがあったら適宜修正する予定ですが、予めご了承の上お読みください。)

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①「風疹ワクチン」:赤ちゃんの心臓病や難聴、発育障害を防ぐ

まず、「風疹ワクチン」の接種が重要です。

風疹は、感染者の咳や飛沫に含まれる風疹ウイルスを吸い込むことで感染します。2~3週間の潜伏期間後、発熱や発疹、リンパ節の腫れ等の症状が出ます。大人は症状が重くなりやすく、関節痛が出る人も多いです(出典1)。

そして妊婦さんが感染すると、赤ちゃんに下記の障害(先天性風疹症候群)が出る可能性があります。

  • 先天性心疾患
  • 先天性難聴
  • 先天性白内障
  • 精神や身体の発達の遅れ など

中でも★は発症率が高く、先天性風疹症候群の「3大症状」と呼ばれています(出典2)。

もし「赤ちゃんへの感染なんて、滅多に起こらないでしょ」と考えている方がいたら、どうか考えを改めてください。「先天性風疹症候群」の発症率はかなり高いのです。

妊娠初期の感染は、先天性風疹症候群の発症リスクが高い

赤ちゃんの先天性風疹症候群の発症率は、妊娠何ヶ月で感染したかによって異なります(出典2)。

  • 妊娠1ヶ月:50%以上
  • 妊娠2ヶ月:約35%
  • 妊娠3ヶ月:約18%
  • 妊娠4ヶ月:約8%

妊娠1ヶ月で50%以上、2ヶ月で約35%・・・
かなり発症率が高いですよね?

先天性心疾患や白内障は、妊娠3ヶ月以内に風疹に感染した場合に発生するそうです。一方で難聴は、妊娠3ヶ月以前・以降の感染でも発生し、かつ高度難聴のケースが多いようです。

朝日新聞デジタル」に、妊娠中に風疹に感染し、高度難聴のお子さんを出産した女性の体験記があります(「私のせいだ」と自分を責める女性の姿に、胸が痛みます・・・)。

1990年4月1日以前生まれは、特に抗体価のチェックを!

「風疹?子供の時に予防接種したから感染しないよ」

という方、ご注意を。

現在30歳以上の女性・男性(1990年4月1日より前に生まれた方)は、抗体価が足りていない可能性があります。
現在は「2回」予防接種をする規定になっていますが、上記世代は「接種を1回しかしていない」ので抗体価が低く、風疹の感染リスクが高い恐れがあるからです(出典1)。

なお、1990年4月2日~2000年4月1日生まれの方も少し注意が必要です。
この年代の方は、18歳になる年度で2回目の接種が実施されているはずですが、2回目の接種をしていない方もいるようです。

中には接種しても抗体がつきにくい方もいるので、とにかく一度、抗体検査を受けに行きましょう。妊活中の女性はもちろん、旦那さんやパートナーの男性、同居人も!

去年一昨年と風疹は流行したので、お住まいの市区町村によっては検査や予防接種の費用助成が受けられます。接種が決まった際は、風疹ワクチンよりも「麻疹・風疹混合ワクチン(MRワクチン)」を選ぶのがオススメです(理由は後述します)。

②「麻疹(はしか)ワクチン」:流産・早産を防ぐ

近年、大人の中で流行しやすい感染症が「麻疹(はしか)」です。
麻疹は強い感染力を持ち、飛沫や接触だけでなく、感染者と同じ空間にいるとうつることのある感染症です。マスクでは感染予防ができません(出典3)。

感染すると約10~12日の潜伏期間の後、発熱や咳、喉の痛み、目の充血等の症状が出ます。その数日後、一気に高熱や発疹が出るのが特徴です。

妊娠中に感染すると重症化しやすく、下記のリスクが上昇する可能性があるとされています。

  • 流産・死産・早産率の上昇
  • 胎児の発育異常
  • 新生児麻疹(分娩時に妊婦さんが麻疹にかかっていた場合) など

麻疹への免疫が弱まっている人も多い

昔は子供の頃に麻疹に感染し、自然と強い免疫をつける人が多かったのですが、現在は麻疹ワクチンの接種で免疫をつける人がほとんどです。
しかし風疹と同様、生まれた年によっては接種の回数が足りず、十分な免疫を持っていない可能性があります。

2006年度からは子供の頃に「2回」接種が導入されるようになりましたが、それ以前に生まれた方は麻疹ワクチンを「1回しか接種していない」or「1回も接種したことがない」人も多いです(出典4)。

上記に該当する世代や接種の回数があやふやな方は、男女問わず、麻疹の抗体検査を受けることをオススメします。加齢とともに抗体が弱まっている恐れもあるので。

麻疹・風疹予防には「MRワクチン」を

麻疹ワクチンと風疹ワクチンはそれぞれ別ですが、接種の際は「麻疹・風疹混合ワクチン(MRワクチン)」をオススメします。一度に両方の抗体を強めることができるので。

③「水痘(水ぼうそう)ワクチン」:流産や発育障害を防ぐ

妊娠中の感染を避けたい3つめの感染症が、水痘(水ぼうそう)です。

水ぼうそうは、水痘・帯状疱疹ウイルスに初めて感染した時に発症します。約2週間の潜伏期間後、発熱や頭痛が見られた後、体幹や頭皮、腕、足に赤い発疹(かゆみを伴う)が現れます。発疹は水ぶくれになり、最終的にはかさぶたになります(出典5)。

この初感染の後、ウイルスは神経細胞などに潜伏し、加齢やストレスなどで免疫や低下すると再活性化し、帯状疱疹(水ぶくれや神経痛)の症状をきたすようになります(出典6)。

このうち、妊婦さんが避けたいのが、水痘の「初」感染です。下記のようなリスクが伴います(出典7)。

  • 母体の水痘肺炎の重症化
  • 赤ちゃんの「先天性水痘症候群」
  • 赤ちゃんが重症水痘を発症(出産前5日~産後2日で母体が発症した場合)

妊娠20週までに水痘に初感染すると、約2%と低確率ではありますが、赤ちゃんが「先天性水痘症候群(四肢の形成不全や脳炎、精神の発達遅滞)」を発症する場合があります(出典8)。

2回の予防接種が必要。抗体価の低下にも注意を

水ぼうそうにかかったことのある方は、すでに初感染済みであり、免疫を獲得していると考えられます(出典9)。ただ、平成26年から水痘ワクチンが定期接種化されたばかりで、現在は「2回」の予防接種が基準です(出典10)。

ワクチンの接種回数が不明な方や、1回しか接種をしていない方は、抗体検査をオススメします。水痘は主に9歳以下の子供の間で流行しやすく、特に2人目不育・不妊の方は感染予防が大切です。

④「おたふくかぜワクチン」:流産を防ぐ?

おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)も、妊娠中の感染にやや注意が必要な感染症です。

おたふくかぜは、ムンプスウイルス感染者の唾液や咳などの飛沫を吸い込むことで感染します。約2〜3週間の潜伏期間の後、両耳の耳下腺が腫れるのが特徴で、発熱の有無には個人差があります(出典11)。

おたふくかぜに妊娠初期に感染すると、胎児への影響は不明ですが、流産率が上昇するといわれています(出典12、13)。ただ、日本産婦人科医会の記者懇談会(2012年)での発表によれば、「ムンプスウイルス:流産・心膜炎線維弾性症(現在は否定的)」とあり、見解は割れているようです。

***

どちらの見解を信じるべきかは難しいところですが、日本は先進国で唯一、おたふくかぜワクチンの定期接種化がされていない国です。任意接種のため、予防接種率は30〜40%程度と低い傾向にあります(出典14)。

なお、ワクチン接種の推奨回数は「2回」です(出典15)。母子手帳に任意接種の記録がある人でも、1回しか接種していない可能性もあるので、「念には念を」という妊活中の方は、抗体検査を受けてみるといいかもしれません。

⑤「百日咳ワクチン」:新生児への感染を防ぐ

妊娠中というか、新生児に感染させると危険といわれているのが「百日咳」です。

百日咳は大人が感染しても軽く咳が続く程度で済みますが、生後6ヶ月未満の赤ちゃんが感染すると、重症化し死亡してしまう恐れもあるとされます。

つまり、新生児に対面するまでに免疫を高めておく必要があるのが、百日咳の抗体です(出典13、16)。しかし百日咳の抗体は、予防接種をしても中学生以上になると下り切る傾向にあり、日本の成人はほとんど持っていないとされています。

アメリカでは妊娠27~36週の間に、「Tdap」という成人用の3種混合ワクチン(百日咳、ジフテリア、破傷風)の接種が推奨されていますが、日本では未承認ワクチンなので、個人輸入で取り扱っている病院でしか受けることはできません。

なお、国内では代わりに成人用3種混合ワクチンが承認されていますが、Tdapとは抗原量が異なり、添付文書には「妊娠中の接種に関する安全性は確立されていない」と記載されています(出典17)。

つまり、妊娠中に百日咳ワクチンが打てるかは定かではないので、妊娠前に抗体検査と予防接種を受けておくことをオススメします。


今回の記事は、調べながら書いていて発見ばかりでした(疲れた)。
私は「インフルエンザに風疹・麻疹ワクチン!妊活準備は完璧だ!」と思い込んでいたもので・・・他の妊活中の方のお役に立てると幸いです。

接種には副作用のリスクや避妊期間が必要だったりするので、接種は必ずご自身の責任でお願いします。とりあえず私はこれらの感染症の抗体が足りているか、近日中に採血検査を受けてこようと思います。

それでは。

出典1:ゼクシィ「【ストップ風疹】妊娠を考えているのなら風疹の免疫チェックを!」
出典2:国立感染症研究所「先天性風疹症候群とは」
出典3:公益社団法人 日本産婦人科医会「妊娠している方へ麻疹(はしか)の流行についてのご注意」
出典4:厚生労働省「麻しんについて」
出典5:国立感染症研究所「水痘とは」
出典6:冬城産婦人科医院「もしも妊娠中に水ぼうそうにかかったら」
出典7:感染症・予防接種ナビ「水痘」
出典8:国立感染症研究所「成人水痘-妊婦の水痘などを中心に」
出典9:厚生労働省「水痘」
出典10:こどもとおとなのワクチンサイト「おとなワクチン接種スケジュール」
出典11:KNOW VPD!オトナも!「子どものPVD おたふくかぜ」
出典12:こどもとおとなのワクチンサイト「妊娠可能年齢の女性と妊婦のワクチン」
出典13:東京新聞「赤ちゃんほしい…その前に「4感染症」の抗体検査を」
出典14:DIAMOND ONLINE「軽いおたふく風邪でも発症!大人も警戒すべきムンプス難聴の実態―国立成育医療研究センター・守本倫子医師に聞く」
出典15:KNOW VPD!オトナも!「オトナのPVD おたふくかぜ」
出典16:名鉄病院予防接種センター「婚活・妊活に向けて、感染症をチェックしましょう」
出典17:AERAdot「インフルエンザだけじゃない! 妊娠中に接種しておきたいワクチンとその効果とは?」

ASCA
この記事(マンガ・イラスト)をかいた人

流産を繰り返す「不育症」の患者。20代で3回妊娠するも、すべて流産。

32歳、仕事はWebライター。流産を繰り返すうちに適応障害が悪化→うつ病になり、半年間休職。その後はうつ病の治療を続けながら復職し、2020年夏に4回目の妊娠→2021年春に出産。

「妊娠したら出産できるとは限らない」ということを、多くの方に知ってほしい。
流産や不育症で悩む方への情報発信、「不育症」の認知度を上げるためにブログをやっています。趣味レベルで漫画も描きます。

当サイトのコンテンツ全て(記事/イラスト/漫画)の無断使用・無断転載を禁じます。

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