こんにちは、ASCAです。
突然生々しい話で恐縮ですが・・・私は「すぐ妊娠する」体質です。
排卵日を狙って性交をすれば、100%妊娠します。
で、27~29歳まで3回とも自然妊娠し、全て流産に終わりました。
「妊娠率100%、出産率0%」です(書いてて悲しい)。
今のところ不育症検査で引っかかっているのは「抗プロトロンビン抗体」だけで、基準値から少し高い程度です。つまり大した異常ではありません。
と思った私が、医療機関の情報を集めまくって辿り着いたのが「着床促進が原因で、流産を繰り返している」説です。
ネット検索ではなかなか出てこない、新しい不育症因子の説です。「すんなり妊娠はできるのに、全部流産した」という方は、参考程度にご覧ください。
(※あくまで、研究段階の「新説」です。「絶対コレが不育症の原因だ!」と断言できるものではなく、一患者からの情報提供に過ぎません。ご承知の上お読み頂けると幸いです。)
「着床促進」とは?
「着床促進」とは、「不育症患者は、異常な胚も着床し、ある程度発育してしまうため、途中で発育が停止し流産を繰り返す」という不育症原因の新説です。2012年にイギリスで発表されました。
・・・ん。ちょっと難しいですね??😇
概要は、生殖医療専門医の松林秀彦先生がアメブロで紹介されています(「☆新しい不育症の考え方:着床促進」)。こちらを参照しながら、「着床促進とは何か?」を簡単に解説していければと思います。
この説によると、「順調に妊娠・出産する女性」と「流産を繰り返す女性」では、子宮内膜の仕組みが下記のように異なるそうです。
→正常な胚★のみを受け入れて着床・妊娠する
→ほぼ無事に出産に至る
(★胚:受精卵が発育したもの)
→胚の選別ができず、異常な胚(染色体異常率の高い胚)も着床・妊娠してしまう
→胎児の染色体異常によって、流産を繰り返す
要するに不育症患者さんは、本来なら着床しないはずの異常胚も着床させてしまうため、簡単に妊娠しやすい傾向にあるということです。こうした着床しやすい体質のことを「着床促進」と呼びます。
「着床促進」は、不育症原因の新説です。まだ研究段階にあり、この説を知らない不育症専門医も多く存在すると思われます(不育症専門医が、生殖医療にも詳しいとは限らないのです)。
***
私は1年ほど前に松林先生のブログに辿り着き、「私、これかも!?」と思いました。
そして前回の記事で「着床促進」についてチラッと取り上げたところ、ツイッター上で多くの不育症患者さんから反響を頂きました。どうやら「すぐ妊娠するけど、全部流産してしまう」という悩みを抱える方が多いようです。
せっかく妊娠しても、異常胚なら基本的に流産します。そして手術コース。この負のループを繰り返すのが、「着床促進による反復流産」の恐ろしい点です。
着床促進か不育症かを見分けるには?
着床促進は、不育症因子の1つに過ぎません。着床促進以外の理由で流産を繰り返す患者さんも、当然多く存在します。
そこで重要なのが、「不育症の原因は着床促進かどうか」を見極めること。
見分ける方法・・・実はあるみたいです。
そこで、また松林先生のアメブロを紹介します(「Q&A1104 着床促進と不育の違いは?」)。こちらには、↓の主旨のことが書かれています。
↓
●胎児の染色体が正常だった場合→不育症が疑われる
●胎児が染色体が異常だった場合(1回ではなく、過去の流産全て)→着床促進が疑われる(「不均衡型転座」という異常の場合は、原因としてご夫婦の「染色体転座」が疑われます。詳しくはコチラ。)
つまり、流産したら毎回「胎児の絨毛染色体検査」をしないと、不育症or着床促進かは見分けられないということです。
このブログでも散っっ々お伝えしてきましたが、やっぱり大事ですね。流産した赤ちゃんの絨毛染色体検査。なのに何で患者さんに案内せず、流産手術+病理検査だけで済ます医師が多いんだろう?(怒)
「絨毛染色体検査」については、↓の過去記事をご参照ください。
・「流産と診断されたら「絨毛染色体検査」を受けよう−今後の流産を防ぐために」
・「流産しても「絨毛染色体検査」を受けられない人が多い? ガイドライン上の基準は?」
なお、胎児の染色体が正常だった場合は、女性が何らかの不育症因子を持っている可能性があるので、専門外来で不育症検査を受け、原因に沿った治療を受ける必要があります。
一方、これまで流産した胎児が全て染色体異常だった場合は、異常胚でも妊娠しやすい体質「着床促進」が疑われるので、「着床前診断」を受けるのがベターだそうです。
着床促進による流産を防ぐ「着床前診断」とは?
「着床前診断」とは、体外で受精させた胚の染色体や遺伝子の検査を行い、病気を持たない可能性の高い胚だけを子宮に戻して着床させる方法です。
海外では一般的な治療法ですが、日本ではまだ臨床研究段階で、一般的な治療法としては認可されていません。「安全性や有効性が確定していない」ことが理由だそうです。
実際、着床前診断でも見抜けない病気(心臓病や発達遅滞など)はあり、受精卵に穴を開けて細胞を取り出す過程で影響が出る恐れがあるとか(※出典1)。胚の培養士の技術差も問題の一つでしょう。
要するに、「着床前診断=100%確実に健康な赤ちゃんが生める方法」ではないということです。数百万もお金が掛かるらしいので、失敗した時の絶望感は凄まじいものになりそうです・・・。
なお、現段階で着床前診断を受けられるのは、日本産科婦人科学会に申請し、審査が通った患者のみです(基本的には)。適用対象は↓のように定められています。
「検査の対象となるのは、重篤な遺伝性疾患児を出産する可能性のある遺伝子変異ならびに染色体異常を保因する場合、および均衡型染色体構造異常に起因すると考えられる習慣流産(反復流産を含む)に限られる。」
(公益社団法人 日本産科婦人科学会「着床前診断に関する見解」)
つまり、下記の人だけが対象です。
●重い遺伝性の病気があり、子供に遺伝する恐れがある人
●夫婦の染色体転座によって、流産を繰り返している人
対象セマすぎィ・・・。
私は3回流産していますが、転座ではないので該当しません(絶望)。
あれ?でも「着床促進なら着床前診断が有効」という話でしたよね?
え?着床促進の患者って着床前診断の適用対象外では?どうすりゃいいの~!
不育症外来で、「着床前診断をしたい!」と言ってみた結果・・・
私はこれまで、2つの不育症専門外来を受診しました。
若いのに3回も流産が続いていること、3回目の流産時は絨毛染色体検査で染色体異常が見つかったことから、「自分は着床促進では?ってことは着床前診断が有効なのでは?」と考え、不育症専門医に「着床前診断したいです!」と言ってみました。
しかし、結果は・・・
見事に却下されました。いずれの先生も「着床促進」や「着床前診断」については消極的な見解でした。医師によって意見が割れるんだろうな〜。
うーん、個人的にはモヤモヤしますね。
「若いから大丈夫」と言われても、27〜29歳で3回も流産してる時点で「若いけど大丈夫ではない」ケースなのでは?
年齢は若くても、異常胚率が高いから流産を繰り返している可能性がある・・・。それに「着床促進」だと仮定した場合、次に自然妊娠しても、異常胚で着床→流産コースになる恐れがある。
「自然妊娠で何度もチャレンジ」って軽々しく言うけど、「何度も妊娠→流産→手術」を繰り返せってこと?
もうこれ以上流産したら心が持たない。無理だよ。
「着床前診断」の適用対象を広げてほしい件 〜 不育症患者の心と命を守るために
日本産科婦人科学会には、「着床前診断」の医療技術を向上させ、適用対象を広げてほしいと願っています。
不育症は、うつ病や自殺につながりうる病気だからです。
私自身が3回流産の末、うつ病になったという経験もありますが、もっと多く流産している女性や、抑うつ状態にある不育症患者さんもツイッター上でたくさんお見かけしています。
流産を繰り返させることは、母体への虐待に近しいと私は思います。不育症で苦しむ女性の心身は、医師が想像している以上に限界状態にあるのです。
「着床促進」は2012年にイギリスで発表されたばかりの説で、正式な不育症の原因とは認められていないのが現状です。まだまだ臨床研究が必要でしょう。
そして、着床促進による反復流産を防ぐための「着床前診断」も、安全性や正確性等の理由から、日本では一般的な治療法として認められていません。
(特に「着床前診断」は、「命の選別」として世間から批判されている方法です。「命の選別」ではなく、「これ以上流産を繰り返させないための選択肢」なのにな。世間一般の人よ、変な誤解をしないでおくれ💀)
臨床研究や医学技術が進展し、1日でも早く、1人でも多くの不育症患者さんが救われることを願っています。
それでは。
※出典1:京都大学大学院医学研究科「遺伝カウンセリング資料 着床前診断のはなし」
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