「流産したのに検査案内されなかった」−絨毛染色体検査を巡る医療格差

不育症
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こんにちは、ASCAです。

流産の原因が赤ちゃんの染色体異常かどうかを探る「絨毛染色体検査」は、次回以降の流産を防ぐために非常に重要な検査です。

私は3回流産しましたが、2回目まで検査していません。検査の重要性を知らなかったから。
「最初から検査していれば、この世に生まれることができた命があったかもしれないのに」と、今もずっと悔やんでいます。

この検査の重要性を述べた記事は、ツイッター上でかなりの反響がありました。
そして私宛てに、患者さん達からこんな声も届きました。

「3回流産したのに、1度も検査案内を受けていない」
「医師に泣きながら検査を懇願したのに、却下された」

今回は患者さん達の実際の声や、独自のアンケート調査をもとに、「絨毛染色体検査を巡る医療格差問題」に切り込んでいきたいと思います。

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「医師から絨毛染色体検査の案内はありましたか?」アンケート

「何度も流産したが、医師から検査案内をされなかった」という声が多く寄せられたので、私はツイッターにて、検査案内の有無についてアンケートを実施しました(実施期間:19/09/17〜19)。

↓結果はコチラ↓

!?!?
(え・・・?案内なしのケース多すぎでは?)とショック。。

流産が1回目なら検査案内なしが一般的?

最多は「案内なし(流産経験は1回)」で41%。回答者数は368名なので、約150名が該当します。

一般的な産婦人科ガイドラインでは、「絨毛染色体検査の案内は2回目の流産時に行う」となっているので、初回は案内がないのが普通なのかもしれません。また、進行流産の場合は検査が難しいので、案内なしで終わってしまうのだと思います。

ガイドライン上の基準については、前回の記事をご参照ください。

ただ私個人としては、1回目の流産だとしても、検査可能な状態(特に稽留流産)であれば絨毛検査を受けておいてほしいです。赤ちゃんが亡くなった原因をハッキリさせることで、次回以降の流産対策ができるケースもあるからです。

2回以上流産したのに、検査案内がないのは大問題

さて、問題なのは「案内なし(流産経験は2回以上)」です。アンケート上2番目に多く、患者さんの24%(約88名)が該当します。

大袈裟な言い方ですが、これは医学ガイドライン上の違反です。2回目の流産では、絨毛染色体検査をする決まり(のはず)だからです。

2回目の流産が進行流産で、子宮内組織の多くが自然排出されてしまった場合は、検査が難しいので案内なしでも仕方ないかもしれません。

しかし、「流産と診断された時点で、まだ自然排出は起こっていない」かつ「2回目以降の流産である」場合は、手術の案内とともに、医師は絨毛染色体検査の案内をすべきです。

また、検査ができない状態であっても、2回以上流産を繰り返した患者さんには、百歩譲って「不育症検査」の案内をすべきです。母体や男性側に原因が見つかり、反復流産の対策ができる可能性が上がるからです。

(「不育症とは?」:マンガはコチラから)

1回目の流産で検査案内をした先生は「有能」

一方、「初回あるいは2回目以降の流産で検査案内された」患者さんも計35%います。

特に1回目で検査案内した先生!素晴らしい!
ちゃんと不育症のことも視野に入れて、案内してくださったのでしょうね。

(いや、一般の産科ガイドライン通りの対応なんですけどね。。でもそうしてくれる先生は少ない!)

医師や病院によって「知識格差」が激しい?

アンケート結果が示すのは、【産婦人科医なら当たり前の対応】ができない医師も多いという現実です。

もしかすると、同じ産婦人科医でも知識差が激しいのかもしれません。

不育症外来はもちろん、不妊症CLの先生だと不育症の知識も豊富な傾向があるので、絨毛染色体検査の重要性を知っていますが、一般の産科の先生は詳しくないのかも、という推論です。私のツイッターに寄せられたコメントから、その傾向が読み取れました。

一方で普通の産科に来る人のほとんどは、順調に妊娠や出産ができる妊婦さんであり、流産を繰り返す患者さんは「運が悪いだけ」の存在でしかないのかもしれません。

ただ、本当にそういう知識格差、医療格差が存在するのであれば、医療的にも社会的にも大きな問題です。

患者さんの声①−「流産を繰り返したのに、検査案内がなかった」

ではここで、私のツイッターに寄せられた患者さん達の声をご紹介したいと思います。

3回、4回と流産した不育症患者さん達の声です。いずれも医師から「絨毛染色体検査」の案内をされなかった結果、何度も辛い流産体験を重ねることになりました。

彼女達がもし1〜2回目の流産で検査をしていれば、原因や対策がわかって、以降の流産を防げたかもしれません。

患者さんの声②−「流産回数が理由で検査できなかった」

こちらは、「流産回数が足りない」という理由で絨毛検査を断られた(できなかった)患者さんの声です。「1回目の流産なら検査は必要ない」と言われたり、検査案内がなかったりしたケースです。

現在のガイドラインも「2回目の流産で絨毛検査を実施」となっているので、流産回数の不足が理由で検査しない医師も多いのでしょう。

ただ、私のように何回も流産を繰り返すと、今度は不育症外来にかかったときに「これまでの絨毛染色体検査の結果がほしかったなぁ」と言われることがあります(超絶理不尽)。

患者さんの声③−「染色体異常だろう」の憶測で検査なし

これ、よくある要注意パターンです。「初期流産は、どうせ染色体異常が原因だから」の一言で片付ける系。「もう1回流産したら考えようね」系。鬼畜かよ。

前回の記事でも言いましたが、胎児染色体異常以外の原因で流産した可能性も20〜30%あります。検査案内もロクにせず、憶測で原因を語るのはやめてください。

患者さんの声④−「うちは検査してない」「廃棄」等の乱雑な対応

これはもはや事件ですね。患者さんが検査を依頼したにも関わらず、この乱雑な対応・・・。最低最悪な話です。こんな病院が滅多にないことを祈ります。

患者さんの声⑤−検査を懇願したが「決まりだから」と一蹴

こちらも医師の対応が酷いです。Gさんは不妊治療の段階で、事前に不育症検査をしていた患者さんなので、絨毛検査の存在を既に知っており、不育症が判明していたからこそ検査を依頼しました。

しかし泣いて懇願したにも関わらず、「決まりだから」と一蹴。あまりにも無下です。Gさんが仰るように、産婦人科は等しく不育症の知識を持ち、患者が検査を希望した場合には誠意をもって対応するよう、体制から整え直していただきたいです。


長くなりましたが最後に、全ての産婦人科ならびに妊娠・出産に関わる医療機関にお願いがあります。

実際の患者さん達の声と、アンケート結果を見てください。
「検査の案内不足によって、流産を繰り返してしまう患者さんもいる
ことを知ってください。そして、絨毛染色体検査の重要性を再認識してください。

これ以上多くの患者さんに流産を繰り返させないために、1つでも多くの命を守るためにです。

それでは。

ASCA
この記事(マンガ・イラスト)をかいた人

流産を繰り返す「不育症」の患者。20代で3回妊娠するも、すべて流産。

32歳、仕事はWebライター。流産を繰り返すうちに適応障害が悪化→うつ病になり、半年間休職。その後はうつ病の治療を続けながら復職し、2020年夏に4回目の妊娠→2021年春に出産。

「妊娠したら出産できるとは限らない」ということを、多くの方に知ってほしい。
流産や不育症で悩む方への情報発信、「不育症」の認知度を上げるためにブログをやっています。趣味レベルで漫画も描きます。

当サイトのコンテンツ全て(記事/イラスト/漫画)の無断使用・無断転載を禁じます。

■Twitter
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